2018年1月23日
こんにちは、加藤丈博です。
仮想通貨の雑所得の計算、具体的な数字を使ってお話しします。
なお特に断りがない限り、各ケースごとに当該仮想通貨についての取引はそれだけであったとお考え下さい。
ケース1 基本のかたち
・仮想通貨Aを1単位(以下1A)を10,000円で購入
・その後1Aを15,000円で売却
→差引5,000円が利益
年間の取引がこれだけなら非常にシンプルですね。
ケース2 取得価額の算定の基本のかたち
・1Aを10,000円で購入
・その後Aが値上がり、追加で1Aを50,000円で購入
・さらにその後1Aを70,000円で売却
→利益は40,000円
1Aの売却価格70,000円から1A分の取得価額を差し引いて計算するのですが、
取得価額については「平均法」により求めることとなっています。
☆「平均法」とは
購入ごとの価格の違いを平均して取得価額を計算する方法です。
会計上は先入先出法(先に入ってきたものから先に出ていく)などがありますが、
仮想通貨においては平均法のみが認められています。
ここでは2Aを60,000円で購入した→1Aあたりの取得価額は30,000円
70,000円-30,000円=40,000円が利益
となるわけです。
ケース3 移動平均法と総平均法
・1Aを10,000円で購入
・Aが値上がり、追加で1Aを50,000円で購入
・その後1Aを70,000円で売却
・さらにその後8Aを600,000円で購入
→利益は40,000円、又は4,000円
☆平均法には「移動平均法(原則)」と「総平均法」がある
☆移動平均法と総平均法はいずれかを選択して継続適用しなければならない
☆「移動平均法」とは
おそらくこちらの方が考え方はわかりやすいです。
AであればAを入手する都度、平均単価を求め、
払出しがあった際はその時点の平均単価で取得価額を計算する方法です。
最初に1Aを10,000円で購入 → 所有しているAは@10,000円×1
追加で1Aを50,000円で購入 → @30,000円×2
1Aを売却 → @30,000円×1
8Aを600,000円で購入 → @70,000円×9
“売却したときの”1Aの取得価額は30,000円なので
70,000円-30,000円=40,000円
が利益となります。
☆「総平均法」とは
こちらは時系列の流れを無視し、総額を総数量で割って年間の平均単価を求め、
払出についてもその平均単価で払い出したと考える計算方法です。
年間で10Aを660,000円で購入 → @66,000×10
年間で売却したのは1A
70,000円-66,000円=4,000円
が利益となります。
計算方法によっては利益金額が変わってくることがあるため、
・去年は総平均法だったけど今年は移動平均法、来年はどちらにするか未定
・6月までは移動平均法、7月以降は総平均法
といった、計算方法の変更は基本的にNGです。
☆移動平均法のメリット、デメリット
メリット
・いまいくら損益が出ているか計算できる
→売却の都度都度で利益が計算できるため、年の途中で現時点までの損益額を求めることが出来ます。
デメリット
・計算がめんどう
→売買の時系列ごとの集計が必要なので、計算量は多くなります。
☆総平均法のメリット、デメリット
メリット
・計算がシンプル
→時系列を無視し、1年にどれだけいくらで購入してどれだけ売却したかの情報のみで足りるため、計算は行いやすく、また計算量も少なくて済みます。
デメリット
・1年が終わってみるまで正確な損益が計算できない
→1年の全ての購入を合算するため、最後の購入が終わるまで平均単価を求めることが出来ません。
→年末に大きな値動きがあり、そこで購入が生じた場合など、想定していた損益が大きく異なることもあります。
☆移動平均法と総平均法のどちらが良い?
個人的な意見ではありますが、
・大きな金額を動かしている人は移動平均法
・そうでない人は総平均法
が良いと思います。
大きな金額を動かしている人は所得額~税額への影響が大きく、
税額なども加味した運用をされると思うので、
税額への予測、対応を十分に行うために移動平均法で随時所得を計算できる方が優れていると考えます。
一方でそうではない方は、
税額への影響、税額への予測、対応に躍起になる必要は薄いと思われ、であれば計算の手間の観点から総平均法を採用する方がよいと思います。
今回は仮想通貨Aのみの場合の計算をお話ししました。
次回からは仮想通貨Bも登場します。